外食するときはお店でしか食べられない料理──家では絶対食べられない料理を食べたいなと思います。
ラーメンなどはその最たるもの。
チープな袋入りラーメンからアレンジを凝らす家ラーメンも楽しいですが、研究と研鑽を重ねたお店の一杯はまた別格。
もはや別の料理と言って良いものだと思います。
それは店主の技量と努力のなせる技だと思うのですが店主の技量とは関係なくお店でしか食べられない料理というものもあります。
たとえばうなぎの蒲焼や焼き鳥。
それらは年季を積んだタレがあってこそ。
何年も何十年も調味料を追い足し追い足しして作られたタレは素材の旨味が集積されて唯一無二の味に昇華しています。
あれなんかは家で真似しようと思ってもどだい無理な話です。
あるいはおでん。
たくさんの具材を毎日煮込むつゆだからこそ出せる味というのは確かにあります。
まさか家で巨大な寸胴鍋を用意して大量のおでんを作るわけにはいきますまい。
同様に味噌汁なんかも一度にたくさん作ったほうが美味しいと僕は感じます。
1人前作るのも100人前作るのも手間は変わらないのに100人前作った方が美味しく感じるのはなんか理不尽な気さえします。
そういう思いもあって普段ご飯に付ける味噌汁はインスタントを使うことが多いんですよね。
今どきのはけっこう美味しいですし。
でも、たまにはきちんとした汁物をいただきたいという衝動に駆られてしまいます。
この一杯を作った時もちょうどそんな気分だったのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- ごぼう:3cm
- 人参:1cm
- 刻みネギ:少々
- ごま油:4g(小匙1)
[吸い地パート]
- 水:200g(カップ1)
- 酒:10g(小匙2
- 昆布出汁の素:小匙1/2
- 塩:1.5g(小匙1/4)
【作り方】
- ごぼうは千六本に切って10分水に晒してざるに揚げておきます。人参も千六本に切ります。
- 小鍋にごま油、ごぼう、人参を入れて中火にかけ30秒ほど炒めます。これに[吸い地パート]を加えてひと煮立ちさせ弱火で7分煮込めばできあがり。お椀によそって刻みネギを散らして戴きます。
【一口メモ】
- はんなりと上品な風味で控えめな塩味がかえって後を引きます。おかずの味が濃い献立では特にオススメの一杯です。
- インスタント的に作れちゃうのが魅力な一杯です。きちんとした汁物がほしいときにぜひどうぞ。ごぼうのアク抜きに少し暇がかかるので最初に仕込んで他のおかずを造りながら仕上げてください。
- 千切りの具材がたくさん入ったいわゆる沢煮椀と呼ばれる吸い物で椀種と呼ばれる主役の具材がない控えめな構造にしてみました。物足りない方はつみれや鶏肉、焼いた竹輪を椀種に三つ葉などを吸口(お芝居でいうとストーリーを引き立てる三枚目の役)にすると本格的なお吸い物になりますよ。
- お好みでゆずの果汁を少し加えると風味がぐっと引き立ちます。食べる時に粉山椒を振るのもオススメ。