東京では蕎麦屋で酒を飲む──誰かのエッセイで目にした情報です。
関西出身で酒呑みな僕からするとちょっと想像がつきにくいなぁと思ったお覚えがあります。
はたして、蕎麦は肴になり得るのか?
いや、なにより気ぜわしいだろ。
江戸っ子は気が短いから蕎麦が出てきたらつるつるってすすってそそくさと店を出てしまいそう。
いったいいつ酒を飲むんだろ?
気になったので調べてみたら「蕎麦前」という言葉に行き当たりました。
蕎麦の前、つまり蕎麦を注文すると茹で上がるまでの時間待つことになります。
その待っている間にちょいと一杯というスタイルで呑む酒を「蕎麦前」と呼ぶらしい。
「食前酒」と呼ぶよりちょっと粋な言い回し。
ちなみに、蕎麦をすすったあとに「中割」と呼ぶ酒を呑み、また蕎麦をすすり、最後に「箸洗い」と呼ばれる酒を飲んで〆る強者もいるらしい。
なるほどけっこう飲むタイミングはあるもんだ。(って、無理矢理感はあるけど)
蕎麦屋で酒を飲む風習は江戸時代に生まれたらしいのですが、その理由のひとつは豊富なサイドメニューにあるらしい。
蕎麦屋に付き物の天ぷらは言うに及ばず、定番の板わさ、卵焼きなど客のニーズに応じて品数豊富。
居酒屋などでじっくり腰を据えて飲むのはちょっとという日にいわゆる「ちょい呑み」スタイルで楽しめたところがウケたみたいですね。
とある昼食時。
なんかざる蕎麦が食べたい気分。
けど、暦は2月でなんか寒々としたランチになっちゃいそう。
そこで具材の入った熱々のつけ汁を用意しまして、ラーメン屋のつけ麺風にしてみました。
これなら酒も進みそうだな。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- 蕎麦(乾麺):1束
- 豚バラ厚切り:30g
- 白ネギ:10cmなければ玉ねぎ1/4個
- 大根:1.5cmの輪切り
- ごま油:7g(大匙1/2)
[つけ汁パート]
- 鰹出汁:150g
- 豆板醤:3g(小匙1/2)
- 蕎麦の本返し:大匙1.5なければめんつゆを出汁150ml分
- 粗挽きブラックペッパー:少々
【作り方】
- 蕎麦を茹でるお湯(分量外)を沸かして蕎麦を茹でます。
- 1.をやっている間に大根はすりおろして水気を切りつけ汁の器に入れておきます。豚肉は小口切りにし、白ネギは3cm程度に切ります。
- フライパンに胡麻油を入れて中火にかけ豚肉、白ネギを加えて白ネギに焼き色が付くまで炒めます。
- 3.に[つけ汁パート]を加えてひと煮立ちさせ弱火にして蕎麦が茹で上がるまで待機させます。
- 蕎麦が茹で上がったらザルに揚げて冷水で〆、水気を切ってざるに盛り付けます。大根おろしを入れておいた器に4.を注いだらできあがり。蕎麦を手繰ってつけ汁に浸けながらいただきます。
【一口メモ】
- ざる蕎麦のスタイルですがつけ汁が熱々なので冬場に食べても違和感ありません。豆板醤、粗挽きブラックペッパーのホットさも嬉しい限り。
- このレシピの段取りポイントは蕎麦が茹で上がるまでにつけ汁の支度を済ませること。約8分間が勝負です。
- つけ汁に具材も入っているので江戸っ子が好む「蕎麦で酒を飲む」というスタイルでも楽しめます。しかも蕎麦前と呼ばれる蕎麦の茹で上がりを待つ間に1杯というのではなく蕎麦を手繰りながらちょいちょい具材をつついてというスタイルでもOK(せっかちな人には不向きですが^^;)。