何かのバラエティ番組のひとコマだったと思うのですが"凄い蕎麦"を堪能するみたいなテーマで茹でた蕎麦を何も付けずに食べるというのに芸人さんがチャレンジしていました。
食べた芸人さんが一言。
「普通につゆに浸けて食べた方が美味しいと思う」
……。
いや、そりゃそうだろうなぁと思いました。
いくら蕎麦の香りが強く立っていてもそれだけ食べたら味気ないでしょうよ。
これは極端な例ですが世の中には一定数、「素材本来の味」を熱狂的に愛し、料理の味付けや具材はシンプルなのが至上と信じてやまない方たちがいるように思います。
例えばうどんを食べるのなら素うどん、麺とつゆのみのいわゆる「かけ」がベストと提唱し、具材を載せたり薬味を振って食べる人をしばしば「ものの味のわからんやつ」と下に見たりします。
僕は密かにこういう人たちのことを海原雄山化した人たちなんて呼んでいたりします。
って、僕もたいがいにひどいことを考えているな(笑)
僕的には、素うどんと具の載ったものと、どっちが好き?と訊かれたら迷わず「具の載ったやつ」と答えます。
少なくとも、うどん屋の品書きに載っているような具材は長い歴史の中で淘汰され、洗練されて多くの人から「うどんとの相性抜群」という支持を得たものばかり。
そんなもの、美味しいに決まっています。
その味は素材本来の味にも引けを取らないものだと思いますし、何より見た目もリッチ。
下に見られる筋合いはどこにもありますまい。
とあるランチタイムにこんなうどんを作りました。
ランチに"うどん"というと手抜き料理なイメージがありますがこれを手抜きと思う人はあまりおりますまい──
と思えるくらい手間がかかって疲れちゃった。
こういう時は伝家の宝刀を抜いて「『素材本来の味を楽しむのが至高』──なんて言っておけばよかったかな、とちょっと後悔しました(笑)
【材料】(1人分)
-調理時間:30分-
- うどん:1束
- 鱈:1切れ
- 大根:1.5cm
- 揚げ油:48g(大さじ4)
- 卵:1個
- 刻み葱:適宜
- ポン酢醤油:5g(小さじ1)
[鱈の下味パート]
- 塩、ブラックペッパー:少々
- 片栗粉:3g(小さじ1)
[スープパート]
- 水:300ml(カップ1.5)
- 鶏がらスープの素:水300ml分
- 酒:15g(大さじ1)
- 味醂:12g(小さじ2)
- 水溶き片栗粉:6g分
【作り方】
- 鱈は一口大に切って酒を振り10分置いて臭み抜きをします。大根をすりおろします。卵を盛り付け用の丼に割り入れてよく溶いておきます。
- その丼の壁に残った卵液も、後からスープを注げば自然にかき玉になるため、無駄が出ません。
- フライパンに揚げ油を張って強火にかけ1分半温めます。待っている間に1.の鱈をキッチンペーパーで水気を拭きとり[鱈の下味パート]をまぶします。揚げ油が温まったら鱈を入れ、片面1分半、ひっくり返して更に1分半揚げ焼きにしてかす揚げで掬い油を切ります。
- うどんを茹でる湯(分量外)を沸かします。湯が沸いたらうどんを規定時間茹でて湯切りし、流水で〆ます。
- 3.と並行して[スープパート]の水溶き片栗粉以外を小鍋に合わせてひと煮立ちさせ、水溶き片栗粉を加えてとろみを付けます。これに溶き卵を流し込みます。卵が浮いてきてから菜箸で軽くかき混ぜましょう(それより早いタイミングで混ぜるとスープが濁ります)。
- 丼にうどんを入れて ・ポン酢醤油を回しかげ4.のスープを注ぎます。鱈と大根おろしをトッピングして刻み葱を散らせばできあがり。
【一口メモ】
- ランチに"うどん"といえば“手抜き料理の代表選手”のように思われがちですが、これは明らかに手の込んだ一杯です。しかも、魚、卵、大根と使っている食材も豊富なご馳走なのだ。
- ポン酢醤油は仕上げに入れた方が柚子の香りが立つので[スープパート]には加えず仕上げに加える手順にしています。
- このレシピでは鱈の揚げ焼きをイチから作る手順にしていますが面倒なら夕飯用に買って来たスーパーの揚げ物惣菜を2?3切れシェアして使うのもおすすめです。うどんの具材なら主菜級のボリュームは不要なので十分贅沢な気分が味わえますよ。