うちの近所に、1階部分にスーパーマーケットが入ったマンションがあります。

そこの駐輪場はマンションの居住部分の真下に作られていて、買い物をする人はずずずいっと奥までお入りください、という構造になっています。
こういった駐輪場のお約束だと思うのですが、マンション部分に入ったら自転車から降りて押して入ってくださいね、という貼り紙がしてあります。
まあ、奥から人が出てくる可能性もありますので、自転車に乗ったままというのは危ないからでしょう。

けど、この“注意喚起”を守らない人が多いこと多いこと。
平然と駐輪場内まで乗り入れちゃう人を、ちょくちょく見かけます。

とはいえ、いちいちそれを注意するのも面倒なので見て見ぬふりをしていたのですが……。
この前、そのスーパーに出かけて、行儀よく自転車を押して駐輪場に入ろうとしたら、時ならぬエンジン音が聞こえてきました。
「ん?」
と思う間もなく、原付にまたがったおばあちゃんが飛び出してきた!

あっけにとられる僕を後目に、おばあちゃんはいずこともなく去っていきました。
我に返った僕の脳裏をよぎったのは、こんなフレーズ──。
「スクールウォーズかよ」
スクールウォーズとは1984年にオンエアされた学園ドラマで、荒れた学校を舞台に熱血先生がラグビー部を立て直していくお話でした。

そのオープニングムービーで、学校の廊下をバイクが走り抜けるシーンがあったんですよね。
「いや、おばあちゃん、さすがに原付はヤバいでしょうが」
──あのおばあちゃんがヘアスタイルをリーゼントにして学ランを着ていたら似合いそうだな、なんてしょうもない想像をしながら、僕は心の中でそうつぶやきました。
見た目一発──なんて言葉がありますが、なんの説明もなくても、それが何であるか、どういう状況なのかが一発でわかる、シンボル的なビジュアルやアイテムというものがあります。

スクールウォーズのバイクのシーンも、その学校が荒れていることを端的に説明する、シンボル的演出だったのでしょう。
似た例で、例えば昭和のコントでは、よく頬かむりをして唐草模様の風呂敷包みを背負った男が出てきました。
それを見たら、子供でも「あ、泥棒だ」と理解できましたから、お約束的シンボルというのは侮れないものです。
スクールウォーズと同じ不良つながりなら、リーゼントに学ラン、ボンタン(太もも周りが極端に太く、先が細い変形学生ズボン)といういで立ちになれば、一目見て
「あ、ツッパリ(1980年代当時の不良の呼び名)だ」
と思えました。
料理の世界にも、同じようなシンボル的料理、食材というのはあります。
例えば中華料理。
昭和の昔なら、丸くて赤いテーブルにラーメン、炒飯、餃子の皿が並んでいれば、いちいち説明されなくても、そこが中華料理屋だとわかりました。

今はもっと多様化しているかな。
あるいは、白い皿にちんまりと肉料理などが載っていて、生クリームやバターを使った白いソースがかかっていたりしたらフランス料理店
──って、それは「日本料理といえば寿司や天ぷらを並べとけばいいだろう」というのと同じくらい、フレンチに対していろいろ偏見と誤解がある気もしますが(笑)。

食材で言うと──このカレーのように、とりあえずココナッツミルクの香りを立たせておけば、東南アジアのエスニック料理と勝手に思ってもらえる、みたいなお約束は、今でも通用しそうな気がします。
【材料】(2人分)
-調理時間:30分-
- 白身魚(今回はパンガシウス):150g
- 揚げ油:48g(大さじ4)
- 玉ねぎ:1/4個
- ピーマン:1/2個
- にんにく:ひとかけ分
- 生姜:ひとかけ分
- オリーブオイル:4g(小さじ1)
- ナンプラー:9g(大さじ1/2)
- 市販のカレールウ:1/4箱分
- トマト缶(ダイスカット):100g
- ココナッツミルク:150g
- 水:150g(カップ3/4)
[白身魚の衣パート]
- 片栗粉:3g(小さじ1)
- 塩、ブラックペッパー:少々
【作り方】
- 揚げ油をフライパンに入れて、強火で1分半温めます。待っている間に白身魚は一口大に切って[白身魚の衣パート]をまぶしておきます。油が温まったら、白身魚を入れ、片面1分半、ひっくり返して1分半、揚げ焼きにしてカス揚げで掬い、油をよく切っておきます。
- 1.の揚げ焼きと並行して、玉ねぎ、ピーマンは細切りにします。にんにく、生姜はみじん切りにします。
- カレーを煮こむ鍋にオリーブオイルとにんにく、生姜を入れて弱めの中火にかけます。香りが立ってきたら玉ねぎを加えて10分かけてあめ色になるまで炒めます。さらにピーマンを加えてさっと炒めます。
- 3.にトマトを加えて中火にし、1分煮こみます。さらにココナッツミルク、水を加えてひと煮立ちさせます(吹きこぼれに注意)。
- 4.にカレールウを加えて弱火で10分煮こめばできあがり。
【一口メモ】
- 色合いは違いますが、グリーンカレーのようなテイストです。水を減らしてココナッツミルクを加えると本格的なエスニック料理っぽい風味が楽しめますね。
- ココナッツミルクは値段がピンキリですが、おすすめは業務スーパーで売っている200?250ml入りの紙パックのやつが安くておすすめです。
- うちの近所のスーパーではパンガシウスが100gで98円くらいで売られているので重宝していてちょくちょく購入します(注:2025年10月現在の価格です)。今回はそれを蒲焼きにした残りを使いました。他にも冬場ならタラがけっこう安いのでおすすめですよ。

