今では想像するのも難しいですが中国の昔の里芋はけっこうアクが強くて皮を剥いていると山芋みたいに手が痒くなったそうです。
で、こんな諺めいたものがあるとか。
「里芋の皮を剥く時はおしゃべりをしてはいけない」
無言で皮を剥くと手が痒くならないというのです。
とある日本人留学生が寄宿舎付の料理人にそう教わったというエピソードを彼女のブログで読みました。
けど、「いや声を発しなければ痒くならないって科学的根拠なさすぎね」なんて思ったとか。
ところがそこの料理人たちはこの諺を信じているようでいつもはにぎやかにおしゃべりしながら料理しているのに里芋の皮を剥き始めるととたんに静かになったそうです。
料理の手伝いをしていた彼女もそれに倣って口を閉じて里芋の皮を剥いたら──あら不思議。
手が痒くならなかったそうなのです。
推測するにこの諺の真意はおしゃべりをしているとついつい手が止まりがちになる。
その分、長く里芋を触ることになるのでアクにかぶれ易くなる。
おしゃべりを止めて手早く皮を剥いてしまえば作業も早く終わるし手もかぶれないということなのでしょう。
イマドキの里芋は品種改良のおかげかそんなことをしなくても手が痒くなったりはしないのですが集中した方が作業が早く終わるのは昔と変わりません。
なんてことを考えて里芋の皮を剥いている間だけは音楽を切って全集中。
面倒な皮むきはちゃっちゃと終わらせてこんな夕飯を拵えました。
【材料】(1人分)
-調理時間:22分-
- 里芋:中2個または小3個
- 白ネギ(青いところ):10cm
- にんにく:ひとかけ
- サラダ油:12g(大匙1)
- 花椒:少々
[下茹でパート]
- 水:200g(カップ1.5)
- 塩:6g(小匙1)
[調味料パート]
- 濃口醤油:3g(小匙1/2)
- ナンプラー:6g(小匙1)
【作り方】
- [下茹でパート]を小鍋に入れてひと煮立ちさせます。待っている間に里芋の皮を剥き4?6等分します。[下茹でパート]が沸いたら弱火にして里芋を加え15分茹でます(吹きこぼれ注意)。茹で上がったらざるに揚げて湯切りします。
- 1.をやっている間に白ネギは3mmの輪切りにします。にんにくはみじん切りにします。
- 中華鍋かフライパンにサラダ油と白ネギ、にんにくを加えて弱火にかけます。
- 3.の香りが立ってきたら里芋を加えて強めの中火で2分炒めます。これに[調味料パート]を加えて約30秒炒め、花椒を振って更に30秒炒めればできあがり。
【一口メモ】
- 作り方は粉吹き芋に似ているのですが味は中華。こんがり焼けた葱とにんにく。クセのある魚醤(ナンプラー)。とどめにシビ辛なアクセントをつける花椒。お肉も魚も使っていないただお芋を炒めただけの料理なのにその複雑な風味がごちそう感を演出してくれます。
- この料理で一番ヒマがかかる工程は里芋の下茹でをする15分間。これだけは待つしかありません。なので下茹で用のお湯が沸くまでの3分間に里芋の皮を剥き終えておくことが肝要になります。ここでもたもたしていると料理の完成がどんどん遅れます。皮剥きは全集中して行いましょう。
- 里芋の代わりに短冊に切った山芋を使っても美味しく作れますよ。この場合は下茹では不要です。
- お好みで豆板醤を加えて辛さマシマシにするのもありかな。