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中華・点心

水煮牛肉

青天の霹靂言葉としては知っていてもなかなか日常生活で使うことのない言葉のひとつだと思います。

その意味は「青天=良いお天気」、「霹靂=雷」を合わせて「良い天気だなぁ」とのんきに構えていたら突然、雷が落ちて来たといったほどの意味です。

霹靂=雷という言葉はあまり知られていなかった気がしますが大ヒットした鬼滅の刃の登場人物、我妻善逸(あがつまぜんいつ)の居合い抜きの必殺技「霹靂一閃(へきれきいっせん)」でかなり認知度が上がった気もするな。

閑話休題。

僕は青天の霹靂を経験したことがあります。

まだ横浜に住んでいた頃、すっかり習慣になった週末の食べ歩きでその日は川崎方面に出かけていました。

目指すは「松の樹」。

中国料理の名店で、ネットでも高評価なお店です。

日によっては事前にメニューをきっちりリサーチしてすぐにオーダーをすることもあるのですがその日はノー・アイデア。

入店してからメニューとにらめっこして悩んだ末にこの料理を選びました。

水煮牛肉──牛肉の水炊きみたいなものかなと思っていたのですが出された料理は──赤かった。

いっそ禍々しいと呼んでも良いくらいの赤色でした。

そして一口……口内を……、そして脳内にも雷が落ちて来た。

まさに、霹靂一閃──辛い……なんてもんじゃない。

人間が食べて良い辛さじゃない!!

これは二口目を食べるのは無理かも。

けど、出されたものは食べねばなるまい。

二口目……いや、無理。

もう無理!三口目……もう……ギブアップしようよ。

四口目、あ、ちょっと慣れて来たかも。

結局──悶絶と百面相の末、なんとか完食。

ひいひい言いながらお勘定を払いました。

にも拘わらず──店を出た途端にまたあの真っ赤な皿が欲しくなっちゃったのはなんでなんだ。

他の味覚と違って唐辛子などの辛味は味覚ではなく痛覚だと聞いたことがあります。

もしかして僕は痛いのが好きなのか?

なんて一瞬疑ったのですが恐らくそうではなくて辛さに慣れてくるとその奥に様々な旨味が潜んでいるのが見えてきたんですね。

その旨味に恋してしまっていたのでしょう。

関西に戻ったのでもう簡単にあのお店を訪れることはできなくなってしまいましたが、なんだかあの味が恋しくなってとある夜、霹靂にも似たあの赤い皿を試作してみました。

【材料】(1人分) 

調理時間:13分-

  • 牛バラ肉(焼き肉用):100g
  • 熱湯:200g(カップ1)
  • 鶏ガラスープの素:小匙1

[下味パート]

  • 濃口醤油:6g(小匙1)
  • 酒:2.5g(小匙1/2)
  • 塩、ホワイトペッパー:少々
  • サラダ油(仕上げ用):12g(大匙1)

[辛味パート]

  • サラダ油:16g(大匙1+小匙1)
  • 豆板醤:12g(小匙2)
  • 花椒:小匙2
  • 鷹の爪の輪切り:小匙2

[仕上げパート]

  • 粉唐辛子または一味唐辛子:小匙2
  • 花椒:小匙2

【作り方】

  1. 牛肉と[下味パート]を合わせて10分漬け込みます。終わったら牛肉を食べやすい大きさに切ります。
  2. 1.と並行して中華鍋に[辛味パート]を入れてごく弱火で2分炒めて香りを立たせます。これに熱湯、鶏ガラスープの素を加えて強火にし、ひと煮立ちさせておきます。
  3. 2.の火を止めて牛肉を1枚ずつ加えます。これを中火にかけ肉の色が変わったら火を止めます。 ※肉に火を通し過ぎないのがポイントです。
  4. サラダ油(仕上げ用)をフライパンに入れて熱々に熱します。[仕上げパート]を3.に振りかけ更にサラダ油(仕上げ用)をジュワッとかければできあがり。

【一口メモ】

  • めっちゃ辛いので覚悟して箸を取ってください。それでも以前お店で食べたのに比べるとずいぶんマイルドな味です。辛さに慣れてくると肉の旨味、スープの旨味が見えてきてヤミツキになりますよ。
  • 本格的な中国料理を謳っているお店にはご用心を。日本人好みにアレンジした「中華料理」と違って「中国料理」は本場中国で出されている通りの料理を出すことをウリにしている可能性が高いです。そこのメニューで「水煮牛肉」という品を見かけたら……覚悟を決めて頼んでください。一生忘れられない辛さを経験することができます。
  • 辛さは豆板醤の「辣(ラー)」(唐辛子などのホット系の辛さ)、花椒の「麻(マー)」(舌がしびれるような辛さ。いわゆるシビ辛)を主軸として鷹の爪、粉唐辛子などを加えて複数種類の辛味調味料を重層的に加えるのがポイントです。これにより辛味に奥行きが出ます。
  • このレシピでは肉単品のスープにしていますが茸類やニラなどを工程2.の熱湯を入れるタイミングで加えて一緒に煮るのもあり。野菜の旨味が加えられます。「火鍋」という辛い鍋料理にちょっと似ていますね。

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