もう二十年近く前のこと。
2月のとある日、佐賀のお客様に提案に伺いました。
前の会議が圧していたので伊丹から福岡空港に飛んで列車で向かうという強行軍──だったのですが……
飛行機の窓から福岡の街を見下ろして文字通りフリーズしちゃいました。
一面真っ白の雪景色。
なんじゃこら。ここ九州だろ?
って思っちゃいましたね。
地上に降りてみると列車は軒並み欠便。
慌ててお客様に電話して行けそうにないとお詫びしましたっけ。
福岡という街が日本海側にあるんだなぁということを改めて体感した経験でした。
その福岡から長崎にかけての土地が日本海側にあるという地の利を生かした名物のひとつが鯖の刺身です。
魚介あるあるですが鯖にもアニサキスという回虫が寄生していて食中毒の原因になります。
ところが生息する海によって寄生する種類が違うらしいんですね。
太平洋側の鯖に寄生するのはsimplex種。
これは内臓に寄生して魚肉に移行する特性があります。
それに対して日本海側の鯖に寄生するのはpegreffii種。
内臓に留まり魚肉に移行しにくい特性があります。
なので日本海側である九州で摂れる鯖は内臓さえ取り除けば刺し身で食べても大丈夫なのです。
って、そういう学術的な知識は後付に決まっていますから誰かチャレンジャーな先人がいたのでしょうね。
体張りすぎだろ。
とまれ、九州では鯖といえば「刺し身が旨いよね」となるらしい。
その刺し身をアレンジした胡麻鯖という料理もなかなかに美味しそう。
僕も食べてみたいなとは思いますが関西に住んでいる身では鮮度の良い九州の鯖を手に入れるのは難しい。
過日、よく行く魚屋で東北産の鯖の生寿司が売られていました。
刺し身ではないけど、気分は味わえそう──そう思って買って帰り胡麻鯖を制作。
昔見た福岡の雪景色を思い浮かべながら熱燗で一杯やりました。
【材料】(1人分)
-調理時間:4分-
- 鯖の刺身(なければ〆鯖):100g
- すり胡麻または切り胡麻:大匙1
- 濃口醤油:18g(大匙1)
- 酒:5g(小匙1)
- 味醂:6g(小匙1)
- 味の素:少々
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- 鯖は5mm厚のそぎ切りにします。残りの材料と和えればできあがり。
【一口メモ】
- 香ばしいごまの風味が青魚の臭みを打ち消して箸が進みます。おろし生姜のさっぱりした風味も良いアクセントになっていますね。
- お好みで細切りにした大葉や焼海苔などを混ぜると更に風味が良くなります。
- そのまま食べても美味しいですが味が濃いのでご飯に載せてお湯をかけてお茶漬け風にして食べるのも楽しいですよ。
- 鯖の一種にゴマサバというのがいますがあれは魚の名前、こっちは料理名で別物ですのであしからず。