美味しんぼのエピソードにぶり大根をテーマにしたものがありました。
妻を喪くして絵を描く気力を失った画伯を元気づけるために彼の好物のブリ料理をご馳走しようとする話。
ところが主人公は窓のない地下室に彼を案内して大根が一切れ載った皿を供するのです。
非難轟々の周囲をよそに画伯はその大根をむさぼるように食べます。
その大根はただの大根の煮物ではなくぶりと一緒に煮込んだぶり大根の大根だったんですね。
外界の景色が全く見えない部屋で魚の一切れも供されず出されたのはブリの風味を孕んだ大根のみ。
その状況で海を思い描くには想像力の翼を羽ばたかせるしかない。
そんな状況が芸術家の琴線に触れた──という秀逸なエピソードでした。
大根は肉や魚との相性が非常に良い根菜です。
味しみが良いので肉や魚の旨味をしっかり受け止めそれ単品で煮込むより豊かな風味を持つ料理に昇華させることができます。
夏場の天候不順から大根の値段が高騰していたのですが10月に入ってようやく落ち着いてきた模様。
旬の秋鮭を手に入れたのですが焼き物だけでは芸がない。
値段の下がり始めた大根を買い込んで味噌煮を試してみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- 秋鮭:1切れ
- 大根:4cm
- 生姜スライス:1、2枚
- だし汁(昆布出汁):200g(カップ1)
[調味料パート]
- 味噌:12g(小匙2)
- 味醂:12g(小匙2)
- 砂糖:3g(小匙1)
【作り方】
- 小鍋にだし汁を入れてひと煮立ちさせます。待っている間に大根を桂剥きにし、5mm厚の半月切りにします。だし汁が沸いたら大根を入れ中火で5分煮ます。
- 1.を煮ている間に鮭は一口大に切ります。生姜は千切りにします。
- 1.の小鍋に鮭、生姜、[調味料パート]を加えて味噌を溶かしアルミホイルの落し蓋をして弱火で10分煮ればできあがり。
【一口メモ】
- 鮭は淡白な風味の魚なので醤油ではなく味噌煮にしてみました。濃厚な風味が鼻腔をくすぐって箸が進みますよ。
- 葉付きの大根なら葉も一緒に煮込みましょう。タイミング的には工程3.が終わったところで落し蓋を取り、大根葉を加えて2分ほど煮込めばOKです。
- 味噌は赤味噌と白味噌の2:1のブレンドにすると風味に奥行きが出ます。
- お好みで七味唐辛子や粉山椒をかけても美味しいですよ。