寿司は玉に始まり玉に終わる。
なんか通ぶった言い回しですが
「寿司屋で最初に注文するのは玉(玉子焼き)にすべし。そして最後に注文するのも玉を以て良しとする」
てな意味合いです。
なんで玉子焼きを最初に注文するのかと言うとその店の板前の料理の技量が分かるかららしい。
確かに寿司の美味しさはネタと米の良し悪しでほぼ決まってしまい板前自身が調理をするということはあまりありません(もちろん、1貫、1貫工夫を凝らした拵えをした寿司を出す店もありますが)。
その点、玉子焼きはちゃんとした寿司屋なら板前が焼いていますので調理技術が量れるというのが通人の言い分です。
って、海原雄山じゃあるまいにイチイチ料理人の技量に点数を付けるような食べ方をするなよ。
食べたいものから注文すれば良いじゃんって気がしますけどねw
とまれ、この卵焼きのようにお店で最後に戴く料理は『〆の料理』と呼ばれます。
で、お店の種類によって〆にはこれを食べる(飲む)のがお約束になっている例が意外とたくさんあります。
例えば……
- 焼肉屋の〆はクッパか冷麺
- 焼鳥屋の〆は鶏スープか親子丼
- 天ぷら屋の〆は天茶(天ぷらを具にしたお茶漬け)
- インド料理屋の〆はラッシーかアイス
- フランス料理屋の〆はチーズかエスプレッソ
- 鰻屋でひつまぶしを頼んだら〆は出汁茶漬け
などなど
「てやんでぇ。小難しい決まり事を押し付けるんじゃねぇや。好きなものを食や良いじゃねぇか」
なんてまた江戸っ子モードのツッコミが入りそうですが〆の料理にはそれなりに理にかなった意味合いもあります。
だいたいどれもあっさりしたもので口の中をさっぱりさせ胃を落ち着かせる工夫がされたものが選ばれます。
料理ではありませんが前出の寿司屋ならホントの〆は熱いお茶がお約束。
これも口の中をさっぱりさせて魚臭さを掃う消臭の効果があります。
それ以外にお茶には殺菌効果もありますので生魚を食べた後に飲むのは理にかなっているのです。
ならば鍋物を戴いた時の〆の料理は何?
と訊ねれば多くの人が「雑炊かラーメン」と答えるでしょう。
ことほどさように〆の雑炊、〆のラーメンは僕らの食文化に浸透しております。
けど先に挙げた〆の料理と違って〆の雑炊にしろ〆のラーメンにしろ口の中をさっぱりさせたり胃を落ち着かせたりする効果は期待できそうな気がしません(てか、そんな効果はないだろうと言う気がめっちゃします)。
ならばなぜ鍋料理の〆にそれらを食べるのか?
その答えはとてもシンプル。
「それがめっちゃ美味しいから」
せっかく良い出汁が出ている鍋のスープを捨てるのはもったいない。
これにご飯やラーメンを追い足して食べたらそんなもの旨いに決まってるやん──そう思った人が鍋の〆はこれって決めたのでしょう。
鍋料理の〆はラーメン屋で麺を食べ終わったあとに半ライスを頼んでそのまま丼にツッコむような発想に近いのだと思います。
ならばならば、逆もまた真なり。
ラーメンのスープをベースにして鍋料理を作っても旨いに違いない!ふとそんな風に思い付いてこんな鍋料理を作ってみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:25分-
- 白菜:3枚
- 豚バラスライス:150g
- インスタントラーメン添付の粉末スープ:半袋
- 水:120g(120ml)
- ラー油:適宜
- 粗挽きブラックペッパー:適宜
【作り方】
- 白菜は1cm幅のざく切りにします。豚肉は食べやすい大きさに切ります。
- 土鍋に白菜を敷き詰め粉末スープを振りかけます。その上に豚肉を敷き詰めて水120gを注ぎます。
- 2.の蓋をして中火にかけひと煮立ちさせます(穴から蒸気が上がるのを確認します)。弱火にして15分煮込みます。
- 火を止めて蓋を取りラー油、粗挽きブラックペッパーをかければできあがり。
【一口メモ】
- 鍋料理の〆に残ったスープでラーメンを食べる発想を逆転してみました。〆のラーメンが旨いんだからラーメンのスープで鍋料理を作ったら旨いに違いない! はい、めっちゃ旨かったです。
- 袋入りラーメンのスープは塩分が高いので1袋全部使うと塩分の過剰摂取になってしまいます。半袋分を既定の半分のお湯でスープにすれば全部飲んだとしても摂取する塩分は半分になるのでおススメ。残った半袋分の粉末スープを後日こんな料理に活用してください。
- ちなみに袋入りラーメンの麺も塩分を多く含んでいます。スープとは別茹でにすれば茹で汁に溶けだして塩分をそぎ落としてくれるのでヘルシーですよ。
- 使う粉末スープの種類はお好みでどれでも。醤油、塩、味噌、とんこつ、それぞれに味わいが変わって楽しいのでぜひいろいろ試してみてください。