横浜に転勤する前のまだ関西に住んでいた頃、とある週末に近所に住む従弟から立派な鯛を頂いたことがあります。
明石に行っていて昼網の市で見かけて衝動買いをしたんだがさばき方がわからず持て余していたとか。
確かに調理法のわからない食材を手に入れると悩ましいですよね。
見るからに美味しそうなのにどうして良いのかさっぱりわからない。
たとえば「良いイノシシ肉が手に入ったんだ」と言ってお土産にもらったりしたら僕だって「ええと、どうしようかな」と思っちゃうと思います。
そういう時のひとつの解決策はよく知っている食材の調理法に寄せること。
例えば猪肉ならほぼ豚肉料理の手法が適用できると思うのです。
生姜焼きとか、酢豚ならぬ酢猪とか。
あるいは鍋物にすればぼたん鍋になります。
肉食に馴染みが薄かった明治の頃、肉料理作りを迫られた料理人たちは同じような悩みを抱えたんじゃないかなと想像します。
で、その結果、醤油や味噌や酒など馴染み深い調味料を使って調理することを思いついた。
本格的な洋食の造形を深めていく前の段階ではそんな黎明のような料理たちがいくつも考案されたのではないでしょうか。
たとえば肉じゃが然り。
こんな料理然り。
【材料】(2人分)
-調理時間:5分-
- 豚バラ肉またはもも肉スライス:150g
- 大根:4cmほど
- 生姜:ひとかけ
- サラダ油:8g(小匙2)
- バター:12g(大匙1)
- (お好みで)一味唐辛子:少々
[煮汁パート]
- 水:150g(カップ3/4)
- 蕎麦の返しまたはめんつゆ:大匙1
- 味噌:18g(大匙1)
- 砂糖:9g(大匙1)
【作り方】
- 小鍋に大根を下茹でする湯(分量外)を沸かします。沸くのを待つ間に大根は桂剥きにして1cm厚のいちょう切りにします。湯が沸いたら大根を投入して5分下茹でします。茹で上がったらザルに揚げて水気を切っておきます。
- 1.をやっている間に肉は食べやすい大きさに切ります。生姜は千切りにします。
- フライパンにサラダ油と生姜を入れて中火にかけます。香りが立ってきたら豚肉を加えて色が変わるまで炒めます。更に大根を加えてさっと炒めます。
- 3.に[煮汁パート]を加えて落し蓋をし、弱火で10分煮込みます。
- 4.の落し蓋を取って煮汁の水気が少くなるまで煮詰めます。これにバターを加えて絡めながら融かせばできあがり。お好みで七味唐辛子を振って頂きます。
【一口メモ】
- 洋食のような和食のような不思議なテイストです。めんつゆに味噌という馴染み深い味付けなのに食欲をそそるバターの風味に料理の国籍をまどわされそうになっちゃいます。
- 豚肉に大根というのも好相性ですね。どちらか一方だと物足りない一皿になりそうですがテイストが違う2つの食材が飽きずに食べさせてくれます。
- お好みで薬味的なもの──刻みネギやいりごまなどを振っても楽しいですよ。
- 豚肉を鶏もも肉に変えても美味しく作れます。