僕は子供の頃、梅干しが大嫌いでした。
というか祖母の漬ける梅干しが大嫌いでした。
口がひん曲がるかと思うほど塩辛くて、咽そうになるほど酸っぱくて、とても子供が喜んで食べるような代物ではなかったのです。
なので1、2度口にして以来、僕は梅干しには近づこうとはしませんでした。
長じて気づいたのですが祖母の梅干しが格別に強烈な味だったわけではなく昭和三、四十年代の頃、家で漬ける梅干しはどれも強烈に塩辛かったようです。
やがて梅干しを漬けるご家庭も減って梅干しはスーパーで買ってくるかコンビニのおにぎりに入っているような食べ物に変遷していきました。
で、僕も試しに買ってみたのですが……
意外に美味しい。
確かに塩気も強いし酸味もあるけどかつて食べた自家製の梅干しよりずっとマイルドで食べやすい。
そんな味に至るまでには生産者さんの紆余曲折な努力があったのでしょうが、この味に至ったということはみんな昔の梅干しは塩辛くて酸っぱすぎる!
って不満に思ってたんじゃないかなと笑っちゃいました。
美味しんぼの影響なのか昔ながらの製法をありがたがるのが真のグルメだ──みたいな風潮がバブル景気の頃にはありましたが食べ比べてみればずっと味が良くなっている食べ物ってたくさんあるよなぁと思った次第です。
今では梅干しは我が家の常備菜でいつも冷蔵庫の隅にストックされています。
主菜が脂っこい肉料理の時などはさっぱり風味の副菜を作るのに大活躍してくれるんですよ。
【材料】(2人分)
-調理時間:10分-
- れんこん:1節(100gくらい)
- オリーブオイル:12g(大匙1)
- 塩、ブラックペパー:少々
- 梅干し:1粒
- 味噌(できれば白味噌):6g(小匙1)
【作り方】
- 蓮根は7mm厚の輪切りにします。フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけ蓮根が重ならないように並べて焼きます。両面をきつね色になるまで焼いたら塩、ブラックペッパーを振って火を止めます。
- 1.をやっている間に梅干しは種から外して実を叩き、白味噌とよく和えます。
- 1,を皿に盛り付け、上から2.を塗ればできあがり。
【一口メモ】
- 焼いたれんこんの風味が香ばしくて良い香り。梅味噌はちょっと濃い味ですが酸味強くてさっぱりしているのでついつい手が伸びてしまいます。
- 和風カナッペといった感じの料理でパーティーの前菜にも出せますが副菜としてもおススメ。れんこん2枚で梅味噌を挟めばお弁当のお菜にもできますよ。
- 梅味噌にみじん切りにした大葉や炒り胡麻を加えると風味が変わって楽しいです。焼き海苔、おろし生姜、わさびなどを入れるのもあり。梅味噌を多めに作ってシェアし、いろいろなテイストを楽しんでくださいな。