日本には古くから季節の移ろいを鑑賞するイベントがあります。
春には花見。
夏には星見。
秋には月見。
冬には雪見。
で、どこかの呑兵衛が考え出したことなのでしょう。
それにかこつけて自然を鑑賞しながら酒を飲もうというイベントが考案されました。
花見酒、星見酒、月見酒、雪見酒……風流な景色を眺めているだけで酒が旨い──ってえらくストイックな呑み方ですね。
そういえば第二次世界大戦の頃、イギリスでドライマティーニが流行っていたらしい。
マティーニはジンとベルモット(ワインの一種)を合わせたカクテルなのですがベルモットの量を減らして度数を上げたものをドライマティーニと呼びます。
で、「俺はこれだけドライなマティーニを飲んだぞ」と酒呑みどもが自慢し合うというバカバカしい遊びが流行ったとか。
かのチャーチルが考えた究極のドライマティーニはグラスにジンを注いでベルモットのボトルを眺めながらグラスを煽るというもの……
いや、首相、それただのジンだから(笑)
話が逸れましたが、なんか、そんなエピソードに相通ずるストイックさを感じます。
けど、お月様を見ながら酒を呑んでもお腹はふくれない。
何より口寂しい。
やっぱり肴が欲しくなります。
今では月見といえばお団子が定番ですが昔は里芋を煮たのが定番で中秋の名月が芋名月と呼ばれるようになった由来です。
ま、甘い団子はおつまみには不向きですが里芋の煮たのはかっこうの肴になりそうですね。
十五夜が過ぎて十六夜になった日。
久しぶりに出社するのでお弁当を制作。
おかずに詰めたのはお約束の里芋の煮たのでした。
【材料】(1人分)
-調理時間:25分-
- 里芋:7、8粒
- 水溶き片栗粉:6g(小匙2)分
[煮汁パート]
- 塩:2g(小匙1/3)
- 鶏ガラスープの素:3g
- だし汁(昆布):150g(150ml)
- 味醂:18g(大匙1)
- 酒:30g(大匙2)
【作り方】
- 小鍋に[煮汁パート]を合わせてひと煮立ちさせます。
- 1.を待つ間に里芋は皮を剥いて流水で泥を洗い落とします。粒の大きいものは2、3等分します。煮汁が沸騰したら里芋を加えて蓋をし、弱火で約20分煮ます。
- 2.を煮立たせて水溶き片栗粉を加え、とろみを付ければできあがり。
【一口メモ】
- シンプルだけど飽きの来ない味です。夕飯のおかずはもちろん、晩酌のアテにもぴったりですよ。
- ついでにほうれん草や椎茸などを加えるとにぎやかな煮物になります。これらは火の通りが早いので工程2.がラスト5分になった頃合いに加えましょう。
- ちょっと地味めな煮物なので鶏ミンチを加えてそぼろ煮にすると男子や子どもたちのウケがよくなるかもです。