「居酒屋のお通しはいらない」
そんなコメントをネットで見かけることがあります。
「お通し」は「付き出し」、「おしのぎ」とも呼ばれる店に入ってすぐに出される1品で特に客が注文しなくても注文した酒と一緒に出てきます。
料金は200円~300円程度でチャージされる小鉢料理が多いかな。
「注文してもいない料理を出すな」
「ほしくもない料理で金を取られたくない」
なんてのが否定派の主な理由みたい。
昭和からの悪習だと思っている人も少なからずいるようです。
けど不遜を承知で言わせてもらえば「酒呑みらしからぬ意見」だと僕は思います。
ちょっと想像してみて下さい。
店に入って酒と料理を注文したらまずは酒が先に出てきてしまいます。
熱燗ならいざしらずビールなら秒で出てくるので料理が出てくるまではつまみなしでそれを飲まねばなりません。
口寂しいじゃないですか。
それとも泡が消えていくのを眺めながら料理が出てくるまでジョッキに口を付けずに待ちますか?
更に不遜な言い方をすればそんな飲み方のスタイルは「酒呑みの風上にもおけない」と僕は思っちゃいます。
「おしのぎ」という呼び名の裏には「間もなく料理をお出ししますのでそれまでの間、この皿でしのいでくださいな」という酒呑みへの気遣いが見え隠れしていると僕は思うのです。
気の利いた店ならお通しも「いらない」と一言言えば下げてくれます。
けど、そうするとカウンターに残るのは酒ばかり。
断る人の気が知れないなんて僕は思っちゃいますね。
このレシピの小鉢料理はお通しにするには納豆に手間がかかり過ぎていますがその日のお通しが山芋短冊なら「ちょっと凝ったお通しも出せますよ」と言ってアレンジするには丁度よい塩梅の一皿だと思います。
店主とのそういったやりとりもひっくるめて家呑みでは味わえない居酒屋ならではの楽しみだと思うんだけどな。
【材料】(1人分)
-調理時間:7分-
- 山芋:3cm
- 納豆:1パック
- 梅干し:1粒
- 焼海苔:1枚
- 麺つゆ:小匙1
【作り方】
- 山芋は皮を剥き5mm厚の短冊切りにします。梅干しは種を外して細かく叩きます。納豆に梅干し、添付のタレ、辛子を加えてよく混ぜます。焼海苔はごく細切りにします。
- 小鉢に山芋と麺つゆを合わせてよく混ぜます。これに納豆を加えてさっと和え焼海苔を載せればできあがり。
【一口メモ】
- テレワークの普及やコロナの影響で家呑みする人も増えてきていると思います。手早くできるおつまみとしてオススメの1品。梅風味が付いていて普通の山芋短冊とはまた違った楽しさがあります。
- 火は全く使わず包丁も山芋の短冊切りのみ。「料理は苦手」という人でも簡単に作れる1品だったりします。
- 山芋や納豆はそのまま生で食べられるアイテムなので手持ちがあると重宝する食材です(って、納豆は生とは言わんか(笑))。他にもきゅうり、トマト、オクラ、チーズ、生ハムなどはいずれも「切って→(ソースやドレッシングで)和えて→出す」だけの料理が作れちゃう超便利アイテムなのでよくストックしていたりします。