母の従兄に、いくつものマンションを経営しているなかなか金満な方がいらっしゃいます。
彼は若い頃からよく海外旅行に出かけておられたのですが、あるときこんなことをつぶやかれました。

「結局、どこに行っても山があって川や海があるだけでたいして変わらん」
……。
また、身もふたもないことを(笑)そりゃまあ、海外旅行と言ったって地球上のどこかに行っているだけで火星や木星に行くわけではありませんから、山も海も似たような景色でしょうよ。
ただ、寅さんの名言を借りるならば「それを言っちゃあ、おしめえよ」というやつです。

けど、僕も似たような気持ちになったことがあるんですよね。
僕が社会人になった頃は『私をスキーに連れてって』なんて映画が流行っていた時期で、冬場はスキー場に行くのが"トレンド"を通り越して"社会人の常識"みたいになっておりました。
僕もご多分に漏れず、年に何度かはスキーに出かけたのですが、リフト待ちの長い行列に並んでいるときなどにふと思うのです。
「このままリフトに乗っても、頂上まで行って、また滑り降りてくるだけじゃん。俺、何やってんだろ」

世の中には冷静になって考えると無駄や無意味にしか思えないことが案外たくさんあります。
もちろん、それを言っちゃあ、おしめえよ──なわけで、そういった無駄や無意味が僕らの生活に潤いを与えてくれているのも事実。
なんでもかんでも合理的であれば良いというものでもありません。
それでも、たまには冷静になって、我に返って、僕らが"当たり前"と思い込んでいることを見直すのは意義のあることだと思います。

諸物価高騰のせちがらいご時世、自炊率高めの食生活を送っているとふと、考えてしまうことがあるのです。
お肉のおかずって毎食必要なのかな──と。
お店で食べる定食やセットにお肉が入っていないことはまずあり得ないので、それが当たり前だといつのまにやら思い込んでいただけじゃないかしら。
よくよく考えてみると家で作る料理にお肉が入っていなくても別に差しさわりはないんじゃないかな──なんてね。

もちろん、お肉は美味しいですし、たんぱく質の摂取も大切です。
けど、たんぱく質の摂取というだけなら、魚からも摂れるし、大豆などの野菜からも摂れます。
世の中には「お肉のおかずがない夕飯はあり得ない」と考える人はたくさんいますが、冷静になって考えてみると、ベジタリアンやヴィーガンの人も普通に生きていますし、僕らのご先祖だって洋食が普及する前は、生涯お肉を食べずに過ごした人はいくらもいたでしょう。

そう、「肉のおかずがない夕飯はあり得なくはない」のだと最近、我に返って気づきました。
要は、お肉が入っていなくても美味しければ、箸は止まらないじゃん──過日、こんな無限系サラダを戴きながらそんなことを思いました。

それでも、たまにはガッツリお肉が食べたいな(笑)
【材料】(2人分)
-調理時間:5分-
- 小松菜:1/2束
- きゅうり:1本
- ツナ缶:1缶
[調味料パート]
- 鶏ガラスープの素:小さじ1/2
- レモン果汁:7.5g(大さじ1/2)
- ごま油:6g(大さじ1/2)
- 塩昆布:数枚
- 粗挽きブラックペッパー:少々
【作り方】
- 小松菜はざく切りにし、耐熱皿に入れてふんわりとラップをかけます。これを電子レンジの500ワットで2分温めます。
- 1.をやっている間にきゅうりを塩もみし、5mm厚の斜め切りにします。
- ボウルに小松菜、きゅうり、ツナ缶(漬け汁ごと)、[調味料パート]を合わせてよく和えればできあがり。
【一口メモ】
- 定番の『無限系』料理です。レモンのさっぱり風味、ごま油の香り、塩昆布の塩気──って、最強じゃないですか。
- おかずにしても良いのですが、おつまみとしてもおすすめ。あっという間に作れるので晩酌の最中におつまみが切れちゃった時など、頼もしい味方になってくれるレシピです。
- お手軽に作れるよう小松菜はレンチンで火を通す手順にしてあります。けど、余裕があれば、きちんと茹でて(茹で時間2?3分)氷水で冷やしてから、サラダに仕立ててください。
- お肉のおかずに偏りがちで、野菜も摂らなきゃとわかっていても、つい億劫になってしまう方には特におすすめです。お肉はひとかけらも入っていないのに、あっというまに食べ尽くしてしまいますよ。
- この[調味料パート]の配合は無限系サラダのテンプレートになります。お好みの野菜と和えるだけ。せっせと野菜を摂ってくださいな。

