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たらの鰻丼風

うな重はなぜうな丼より高いのか?──鰻屋で食事をしていてそんな疑問を持った方も多いのではないでしょうか。

改めて言うまでもないかもしれませんがうな重は重箱にご飯を詰めて上に鰻の蒲焼きを載せた料理。

うな丼は丼にご飯を盛って上に鰻の蒲焼きを載せた料理です。

使っている食材はご飯と鰻。

どちらも変わりはありません。

それでもうな重の方が高い価格設定になっている一番の理由は重箱の方が丼よりご飯上面の面積が広く、鰻がたくさん載っているから。

つまり使う鰻の量の違いというのが一番の理由です。

ただ僕はそれ以外にも、うな重発祥の経緯が未だに名残となって価格差になっているんじゃないかしらんと思うことがあります。

ということで少し、鰻ご飯の歴史について語ってみましょう。

ご飯に鰻のかば焼きを載せて食べるスタイルが生まれたのは今から200年くらい前、江戸後期の文化文政年間と言われています。

食べているうちに鰻の蒲焼きが冷めるのがヤだなと考えた人が熱々のご飯に載せて食べたのが、始まりらしい。

で、丼にご飯を盛って蒲焼きを載せるスタイルが定着。

これがほぼ日本最古の丼物ではないかと言われています。

かたや、うな重の誕生は明治になってから。

うな丼を家まで出前してほしいというニーズが高まったのがきっかけだったとか。

陶器や磁器でできた丼は割れやすく安定感もイマイチ。

そこで安定感のある立方体で割れにくい重箱に詰める方式が考案されたとか。

更に重箱は出前のデメリットを解消する救世主にもなったらしい。

そのデメリットとは──運んでいる間に料理が冷めてしまうこと。

「うなぎの出前を頼んだんだけど冷めちまってて旨くない」

なんて客の声を聞いた店主が考案した方式はうな重の上下に、熱い湯を張った重箱を重ねて運ぶというもの。

イマドキの『ランチタイムになっても冷めないランチボックス』と似た発想ですね。

重箱自体、丼に比べて保温性が高い上、上下に重ねることができるという特性を活かしたナイスアイデアだったと思います。

で、うな重のお値段の話。

元々、出前をすること前提だったこと。

湯を沸かして上下に保温用の重箱を挟んだことなどうな丼に比べてうな重の方が手間がかかったのは間違いがありません。

お店で食べる分には『そんな歴史は知ったこっちゃない無意味な話』ではありますがそんな手間賃の名残があの値段に乗っかってるんじゃないかと僕は勘ぐっていたりします。

どうなんでしょうね(笑)

けど、多少値が張っても店まで行く手間を惜しんだ横着者、あるいは忙しい人がいたのは紛れもない事実。

そういう人たちのニーズに支えられてうな重の文化は21世紀の今まで廃れずに残っているのでしょう。

反面、「もっと安くうな丼を食べたい!」と考える人もおりまして。

だったらいっそのこと高い鰻を使うのを止めれば良いんじゃないかという発想も生まれます。

秋刀魚の蒲焼きや鰯の蒲焼きの缶詰が安価に売られているのはそんなニーズにお応えした、所以でしょう。

過日、いつもの魚屋で鱈の切り身が安かったので購入。

鱈が安い時は本気で安く、100g100円くらいなんですよね。

かくしてお値段的にはぶっちぎりの爆安ななんちゃってうな丼が爆誕したのでした。

【材料】(1人分) 

調理時間:18分-

  • ご飯:1膳分
  • 鱈:ひと切れ
  • 塩、ブラックペッパー:少々
  • 片栗粉:4.5g(大さじ1/2)
  • 揚げ油:48g(大さじ4)
  • 刻み葱:適宜
  • (お好みで)粉山椒:適宜

[出汁巻き卵パート]

  • 卵:1個
  • 白だし:4g
  • 水:10g

[調味料パート]

  • 濃口醤油:12g(小さじ2)
  • 酒:10g(小さじ2)
  • 味醂:12g(小さじ2)
  • 砂糖:6g(小さじ2)

【作り方】

  1. の卵は卵黄と卵白に分け卵白をボウルに入れます。このボウルに[出汁巻き卵パート]の残りを加えて泡立て器で30秒泡立てて軽いメレンゲ状にします。さらに卵黄を加えてざっとかき混ぜます。
  2. フライパンにサラダ油少々(分量外)を入れて中火にかけます。これに1.の卵液を流し込み蓋をして約1分半、卵液の上面が固まるくらいまで焼きます。これをフライ返しで掬って一旦平皿に取ります。
  3. 2.のフライパンに揚げ油48gを加えて強火で約1分半温めます。待っている間に鱈を3cm幅に切って塩、ブラックペッパーをまぶします。更に片栗粉をまんべんなくまぶします。これをフライパンに入れて片面1分半、ひっくり返して更に1分半揚げ焼きしてかす揚げですくい油を良く切ります。
  4. 3.のフライパンの油をストッカーに戻して[調味料パート]を加え、中火にかけます。泡が立って煮立ち始めたら鱈を加えます。火を少し弱めて鱈に[調味料パート]を絡めながら煮詰め水気が半分くらいになったら火を止めます。鱈を菜箸で小皿に移します。
  5. ご飯を丼によそい4.のフライパンに残ったタレを回しがけます。その上に2.の出汁巻き卵をその上に敷き詰めて鱈をトッピングします。葱を散らしてお好みで粉山椒を振ればできあがり。

【一口メモ】

  • ご飯、出汁巻き卵、鱈の蒲焼きの三層構造の丼に仕立てました。鱈の甘辛、出汁の効いた卵焼、タレの沁みたご飯を交互に食べることで味のグラデーションが楽しめます。
  • 持論ですが鰻丼好きな人の何割かはあのタレの味が好きなんじゃないかなと思っています。なら魚は安い鱈でもOKのハズ。お財布には随分優しくなりますよ。
  • 卵も最近は高騰しているので1個で出汁巻き卵が楽しめるようメレンゲでボリュームアップするスフレオムレツのスタイルにしてみました。

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