オススメ



その他ご飯もの

塩鮭のちらし寿司

かつてラーメンは懐のさびしい人が空腹を満たすのにもってこいの食べ物でした。

旨くて安い。

そして麺を全部食べ終えてもまだスープをすする楽しみが残っている。

一杯で二度美味しいを体現した料理でした。

ところがイマドキ流行りのラーメン屋さんのラーメンは旨いけれど決して安くはない──が当たり前になっちゃいました。

ともすると一番安いやつでも千円前後が珍しくありません。

それでもなんとか千円出せばお釣りが返って来るくらいに抑えたいというお店の努力工夫がメニューの構成に表れている気がします。

まずは基本のラーメン──叉焼1、2枚とメンマ、葱なんかが載っているやつ──を千円以内に設定する。

で、トッピングをオプション化して追加できるシステムを採用。

味玉、叉焼、葱、海苔などなどをばら売りにして上乗せしていく仕掛けですね。

更にばら売りになったトッピングをまとめることで値引きしてくれるメニューを用意する。

味玉ラーメンや叉焼麺といったラインナップですね。

そんなメニュ構成の頂点にあるのがいわゆる「全部載せ」というやつです。

全てのトッピングが丼に集結していてとにかく盛り付けが豪華。

ま、お値段も豪華なので注文するのは勇気が要るのですがラーメン好きとしては憧れちゃう一杯です。

この「全部載せ」的な発想は他の飲食業でも採用されています。

中でも上手だなと思うのがピザ屋さんかな。

ミートにしろシーフードにしろこれでもかこれでもかと盛りだくさんにして見た目が華やか。

しまいには

「えと、ピザってなんだっけ? あ、そうそう高温の窯で生地を焼くパンの一種だった」

なんて本来の主役であるピザクラフトがそっちのけにされるくらいピザ屋さんの広告はトッピングの豪華さが一番目を惹きます。

本来はそうではなかったはずなのにいつの間にか「全部載せ」的になった料理なら和食の世界にもあります。

僕がすぐに思い付くのはおせち料理。

元々は年神様にお供えする地味な料理だったはずなのにイマドキのデパートで売られているものは「全部載せ」の極み。

ローストビーフ? エビチリ? もはや和食ですらありません(笑)

逆にわりと最初から「全部載せ」前提で考案された料理もあったりします。

ちらし寿司などがそうですね。

ちらし寿司の発祥は江戸時代に遡るようですが町で大人気のお寿司のあのネタも食べたい! このネタも全部食べたい! という欲張りさんがおりました。

「けど、握り寿司はそういくつも食えるもんじゃねぇ」

欲張りさんは悩みます。

そう、江戸時代の握り寿司は現代のおにぎりと同じくらいのどでかいサイズだったんですね。

なら酢飯を皿に敷いてその上に好きな寿司ネタをいろいろ散らしゃあ良いんじゃねぇか──そんな発想から考案された料理がちらし寿司なのです。

とにかく見た目が派手で豪華。

ちらし寿司は江戸時代のピザみたいな存在だったのかもしれません。

ただ当然それだけの寿司ネタを揃えるとお金がかかります。

自然とちらし寿司はお祝いなどの特別な席でだけ食べられる料理というポジションにシフトしていきました。

けどね、よくよく考えてください。

載せるネタが何でもありなところは現代のピザといっしょの料理ですよ。

なら何も高価な材料を取りそろえなくても楽しみようはあるんじゃないでしょうか。

たとえば一切れ100円の塩鮭を使ったこの料理だってちゃんとちらし寿司として楽しめると僕は思うのです。

【材料】(1人分) 

調理時間:15分-

  • ご飯:1膳分
  • (市販の)すし酢:30g(大匙2)
  • 塩鮭:1切れ
  • 胡瓜:半本
  • 白ごま:適宜

【作り方】

  1. 塩鮭を魚焼きのグリルでこんがり焼きます。
  2. 1.をやっている間に胡瓜は塩もみをして薄くスライスします。ご飯をボウルに入れすし酢を加えてしゃもじで切るように混ぜます。
  3. 鮭が焼けたら皮を身から剥がして耐熱皿に入れ電子レンジの500ワットで1分チンします。それをやっている間に身を粗くほぐして骨を取ります。鮭の皮はカリカリになるのでキッチンバサミで粗く切ります。
  4. 2.のボウルに鮭の身と胡瓜を入れてよく混ぜます。これを皿に盛って鮭の皮と白ごまを散らせばできあがり。

【一口メモ】

  • 塩鮭だけのちらし寿司なんてしょぼいと言うなかれ。一口食べればそんな考えが吹っ飛ぶくらいに旨いのです。ちゃんとちらし寿司テイストに仕上がっています。鮭の塩気も良い感じ。
  • この料理の良いところは本来数人で食べる量で作る前提のちらし寿司を具材の種類を絞ることでおひとり様用の料理に落とし込んでいるところ。これなら一人暮らしの夕飯でも手軽にちらし寿司が楽しめます。
  • カリカリに焼けた鮭の皮がまた良いアクセントになっています。火を使わなくても電子レンジで簡単に作れますのでぜひお試しあれ。但し皮の脂の乗りようによっては脂が飛び散るかもしれないのでレンチンが終わったらすぐに濡れ布巾でさっと庫内を掃除しておきましょう。
  • 塩鮭は塩サバ、塩秋刀魚などに置き換えても美味しく楽しめますよ。
  • 香味に生姜、大葉、茗荷、葱などを加えると風味が複雑になってちょっと大人の味が楽しめます。手持ちがあればぜひどうぞ。

レスポンシブ

-その他ご飯もの

Copyright© 料理なんてだいきらいっ!! , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.