AIに仕事を奪われる──なんて話を最近よく耳にします。
10年前だったら「またまたぁ。どうせノストラダムスの大予言と似たり寄ったりのネタ話でしょ」なんて一笑に付したのですがどうやら恐怖の大王よりはだいぶ現実味があるらしい。
スーパー、コンビニのレジや事務仕事を皮切りに工場のライン作業者、電車の運転士、車掌、会計監査にオペレーターなどなどが真っ先にAIにとってかわられるんじゃないかと言われています。
仕事は迅速でミスはゼロ。
しかも給料の支払いも福利厚生の心配もいらないとなれば雇用主は飛びつきそうですね。
では逆にAIに仕事を奪われなさそうな職業ってなんだろうと考えてみました。
芸能? 芝居や歌は生の人間がやっているのをみんな観たがるのでは? と考えたのですが実写のドラマがアニメ作品に圧されている状況を考えるとそれも怪しい。
もちろん人間が演じる芸能がゼロにはならないでしょうけどAIが量産するアニメーションやCG作品に圧倒されそうな気もするんですよね。
で、至った結論ですが……プロスポーツとギャンブルじゃないかなと僕は思うのです。
技術が進歩すれば野球やサッカーができるロボットも誕生するかもしれません。
けど精密無比な打撃や守備を延々見せられてもそんなの面白いか?と思ってしまうのです。
ギャンブルはもっとそう。
競馬の騎手や競輪選手、競艇選手がAIになっちゃったらみんなお金を賭けるでしょうか?
「だってAIって中身がブラックボックスじゃん。オッズを見ながらレース状況を操作されてたとしても分かりっこないじゃん」
なんて疑いの眼差しで見られてファンからは敬遠されそうです。
それになによりプロスポーツもギャンブルも波乱が起こるからファンは釘付けになるのです。
正確無比で文字通り機械的な試合展開やレース展開に惹かれはしないでしょう。
ジャイアントキリングという言葉があります。
直訳すれば「巨人殺し」ですが意訳すると「番狂わせ」という意味合いです。
スポーツもギャンブルもファンが期待しているのは番狂わせ。
できれば「大」番狂わせが起きないかとみんなワクワクしているのです。
AIが執り行う試合やレースにはそれがない。
あったとしても「それもどうせ計算通りなんでしょ」と冷めた目で見られそうです。
食べ物や料理の世界でも数々の番狂わせが新しい人気メニューを生み出してきました。
泡の立たないワインを研究していて思いっきり泡立つワインができちゃったことで生まれたスパークリングワイン(ちなみにその研究をしていた修道僧がドン・ペリニヨンという人です)。
母ちゃんに店番を任せてたら思いっきりスープを煮立たせてすっごい匂いが立つ液体になっちゃってたことから生まれた豚骨スープ。
うっかり生地を敷き忘れてリンゴを敷き詰めちゃったのでその上にパイ生地を載せて焼いたアップルパイはタルトタタンと呼ばれて大評判になりました。
そして番狂わせの対極には予定調和──「計画通り」な料理があります。
さしずめ白菜を主材料に作るこの中華スープなどは生まれるべくして生まれたド定番の中華スープでしょう。
番狂わせと予定調和の程よいある意味絶妙な「調和」。
それがあるから世界は面白いと人々が考える限りその領域にはなかなかAIも立ち入れないんじゃないかな──なんてスープをすすりながら考えておりました。
【材料】(1人分)
-調理時間:12分-
- 白菜:1枚
- 生姜スライス:1枚
- ごま油:4g(小匙1)
[スープパート]
- 水:200g(カップ1)
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 塩:1g(小匙1/6)
- 鶏ガラスープの素:小匙1/2
[仕上げパート]
- 辣油:数滴
- 刻み葱:適宜
【作り方】
- 白菜と生姜を千切りにします。
- 小鍋に生姜とごま油を入れて弱火にかけ香りが立つまで炒めます。
- 2.に[スープパート]を加えて強火にかけひと煮立ちさせます。これに白菜を加えて蓋をし、中火で5分煮こみます。
- 3.の火を止めて[仕上げパート]を加えればできあがり。 ※[仕上げパート]は器によそってから加えてもOKです。
【一口メモ】
- シンプルだけど飽きの来ない味のスープです。辣油の辛味が良いアクセントになっていて体がポカポカ温まりますよ。
- ポイントは白菜をたっぷり使うこと。それだけでスープの満足感がぐっとあがります。
- お好みで水溶き片栗粉でとろみを付けたり溶き卵を加えてかきたま汁にしても楽しいです。
- 具材が物足りない方は人参、玉ねぎなどの野菜や茸類など冷蔵庫のあり合わせで加えてみてください。