♪朝目が覚めたらお父ちゃんとお母ちゃんがけんかしてた。
こどものための合唱組曲「日記のうた」第一曲、「月曜日」の歌い出しです。
小学生である主人公の男の子の視点から両親の夫婦喧嘩をユーモラスに綴った楽曲で僕が小学生の時にクラス対抗の合唱コンクールでどこかのクラスが歌っていたのを覚えています。
「こんな熱いみそ汁のめるか」とお父ちゃんが叫ぶ。
「みそ汁は熱いに決まってます。」とお母ちゃんがわめく。
なんとも不毛な口論が続く中、主人公はふたりの言い分を聞いてどっちに非があるか判定したげようと持ちかけたり、
「恋愛結婚したんやろ。好きで夫婦になったんやろ」
なんて小生意気に諭したりするのですが、待っていたオチは……。
「なんで僕が殴られなあかんねん」でした(笑)
そのオチを聴いて、
「あ、喧嘩の原因はこの子やな。子供の教育問題で揉めたか」
なんて察してしまうあたり僕もたいがい小生意気な小学生でしたね。
類は友を呼ぶというか、なんにでも一言ツッコまずにはいられない僕の友人などは
「これは、おかあちゃんが悪い。味噌汁は熱いと誰が決めた」
なんて得意げに屁理屈をこねていましたっけ。
いやいや、たぶんこのお父ちゃんは冷たい味噌汁を出したとしても「こんな冷たい味噌汁飲めるか」と言ったと思うよ。
最近ふと、この楽曲と友人の屁理屈が脳裏をよぎってしまって、本当に「味噌汁は熱いに決まっているのか?」という疑問が頭から離れず、日本の汁物の歴史を少し調べてみました。
奈良、平安時代に汁物を冷やす文化はなく飲んだら冷たかったとしてもそれは単に冷めてしまったというだけだったらしい。
江戸時代になると甘酒を冷やして飲むような習慣はできたけれど汁物は相変わらず熱々を飲むのが当たり前。
つまり、『みそ汁は熱いに決まってます』は、長らく揺るがぬ常識だったわけですね。
結論から言って意識して冷製のスープを家庭で楽しむようになったのは洋食が定着してだいぶ経った頃、21世紀以降のほんの四半世紀のことらしいです。
ただ、「冷やし茶漬け」「冷や汁」「冷やし中華」や「氷菓」など、冷たいものを夏場に楽しむ文化自体はもっと以前から根付いていました。
スープだけ出遅れたということは──もはや「みそ汁は熱いに決まってます。」は日本独自の文化と言っても過言ではない気もするな(笑)
面白いことに地理的にはお隣さんな韓国では古くから冷たいスープを飲む習慣があったらしい。
李氏朝鮮後期(19世紀)以降、庶民の知恵として発展した冷製スープ文化があり、特に暑気払い・食欲増進・水分補給という3つの機能が重視されて、日本の「冷や汁」や「冷やし茶漬け」と似た役割を担ってきたとか。
さらに冷蔵庫が普及した1970年代以降は夏の定番メニューとして頻繁に食卓に上るそうです。
かくいう僕は特段、「みそ汁は熱いに決まってます。」とは思っていないので、冷製スープも全然ありな派。
日本の歴史に冷製スープがないのならお隣の国の歴史あるスープを試してみましょうとこんな料理を作ってみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:5分(冷蔵庫で冷やす時間は含めていません)-
- きゅうり:1/2本
- 生姜スライス:1枚
- 乾燥わかめ:ひとつまみ
- 刻み葱:少々
- すり胡麻:小さじ1
[スープパート]
- 水:200ml(カップ1)
- 酢:10g(小さじ2)
- 鶏ガラスープの素:小さじ1/2
- 濃口醤油:6g(小さじ1)
- 辣油:数滴
- ごま油:4g(小さじ1)
【作り方】
- きゅうりは塩もみにしてヘタを切り落とし1mm厚の小口切りにします。生姜は千切りにします。
- [スープパート]を盛り付ける器に合わせてよく混ぜます。これにきゅうり、生姜、乾燥わかめ、刻み葱を加えて冷蔵庫で冷やしておきます。
- 食べる時にすり胡麻を加えてさっと混ぜればできあがり。
【一口メモ】
- 暑い夏場なら一気に飲み干してしまいたくなる冷製スープです。インスタント的に作れちゃうところも嬉しいですね。
- 時間がない時は[スープパート]の水以外を合わせてキッチンスケールに載せアイスキューブを3、4個入れてください。200gから氷の重さを引いた重量だけ水を加えたら味が薄まらずに一気に冷たいスープが作れます。
- 風味の決め手は生姜。ピリッとした味と香りが舌の上で感じられて、一段、スープを冷たくしてくれます。
- 手持ちがあればスライスした茗荷を加えると清涼感が更に増します。
- 5mm厚に切った茄子を軽く素揚げして加えれば主菜級のスープにグレードアップすることもできますよ。