『平日の朝っぱらから銭湯に行って、ガラガラに空いた湯船でのんびり足を伸ばす』──というのは、サラリーマン時代の僕の夢でした。
無事、定年退職したのでさっそく夢を叶えるべく、近所の銭湯をリサーチしてお風呂セットを携えてでかけましたっけ。
延々と2時間くらいお湯に浸かったり、昼寝をしたりしちゃいました。
けれど、意外に人が多かったのにびっくり。
平日の朝9時なのになんで? と思いましたが、すぐに気づきました。
ガタイのいいおじさんが多い──たぶん、深夜に工事をしたり、トラックを運転したりした人が仕事帰りにひとっ風呂浴びているんだろうと思い至りました。
誰もが平日の昼間に働いているわけではない──そんな当たり前のことに気付かなかった不明を恥じるばかりです。
この習慣はその後も月に1度のイベントとして今も続いています。
やろうと思えば毎週、銭湯に通うこともできるのですが、あえて月イチにしたのはお祭り感を残したかったから。
例えば夏祭りの夜は1年に一度しかなく、それを逃すと来年まで来ないから特別感があるのです。
青春もののアニメで、夏祭りの夜、浴衣に着かえていそいそと出かけたヒロイン。
そこに、「ごめん、部活で行けなくなった」という彼氏からのメッセージ。
べそをかき始めるヒロイン──なんてプロットが成立するのは夏祭りが1年に1度だからです。
もし、8月の間中、毎週夏祭りをやっているのなら視聴者は盛り上がらないでしょうね。
「来週の夏祭りに仕切り直せば良いじゃん」って、ツッコまれそうです(笑)。
それと同じで銭湯も1カ月に1度だからこそ、「もうすぐ、銭湯の日。わくわく」なんて思えるんですよ。
夏祭りで売られている屋台料理が特別なものに見えるのも同じ理由からでしょう。
冷静に考えれば、チープでジャンクなものばかりなのですが、「今日、食べなければ来年の夏祭りまで食べられない」という想いが、美味しさを押し上げている気がします。
はしまきは九州から中四国ではポピュラーな屋台料理。
割りばしに具なしのお好み焼き生地を巻き付けてソースやマヨネーズをかけたもの。
見るからにチープな材料で作られたジャンクフードです。
けど、こんな料理でも、彼氏と並んで歩きながら食べれば、おしゃれなレストランでのデートに勝るとも劣らないごちそうになるんでしょうね。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- サラダ油:少々
- 割りばし:3膳
- お好み焼きソース:適宜
- マヨネーズ:適宜
- あおさ粉:適宜
[生地パート]
- 薄力粉:50g
- 卵:1/2個
- 水:100g(カップ1/2)
- 鶏がらスープの素:小さじ1/2
- 削り節の粉:小さじ1/2
- 天かす:小さじ1
- 刻み葱:小さじ1
【作り方】
- [生地パート]をボウルに合わせてよく混ぜます。洗い物が増えるけど泡立て器を使うと楽に混ぜられます。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけます。煙がうっすら上がり始めるくらい熱したら、生地の1/3量を流し入れて丸く広げます。蓋をして約1分半焼いたら蓋を取り、上面が乾いていれば焼き上がりです。これを一旦、皿に取り、同様にあと2枚焼きます。
- 割りばしの先端を広げて2.で焼いた生地の端を挟みます。割りばしを回して記事を巻き取ります。これにソース、マヨネーズ、あおさ粉をかければできあがり。同様にあと2本作ります。
【一口メモ】
- 味はまんま、お好み焼きです。意外に腹持ちが良く主食になり得る気がしました。
- はしまきは九州発祥のジャンクフードでお好み焼きを箸に巻き付けたもの。その後、中国、四国地方に広がって夜店(縁日)の屋台などで売られています。関西でも地域によっては売っているかな。
- 割りばしで挟んで生地を巻き付けてあるのは、片手で持って食べ歩けるようにするため。夜店の屋台料理ならではの知恵ですね。
- このレシピは基本形で生地に具材が入っていないプレーンなものです。ハム、ソーセージ、みじん切りにしたシーフードミックス、茸などお好みで加えて屋台気分を満喫してください。
- 最初はプレーンで焼いて、1枚焼くごとに具材を足していって3種類のテイストを楽しむのもありですよ。