とある居酒屋のご主人から店で出す料理のポリシーについて伺ったことがあります。
「家でも食べられる料理は出さない」
というのが彼の拘りだとか。
「あの料理を食べたければあそこに行くしかないよなぁ」
というのは確かに居酒屋の暖簾をくぐる立派な言い訳を酒飲みに与えてくれます。
でも、家では食べられない(あるいは食べられるけど面倒なので作らない)料理ならなんでも良いのかしらん?──そんな天邪鬼な疑問が湧いてちょっと意地悪な妄想をしてみました。
じゃがいもをごく薄くスライスして揚げ油に投入。
からりと揚がったところで引き上げて皿に盛り塩をぱらりと振れば完成。
「ほい、お待ち。当店特性のポテトチップだよ」
って出されたら嬉しいかなぁw
確かにポテチを家で作ろうとは思わないから自家製ポテトチップスは家でも食べられる料理とは言えないでしょう。
けど、スーパーやコンビニに行ったら袋詰めにして売られているじゃん。
それと同じものを料理のプロ謹製だからと言ってありがたがれるかは……
ちょっと微妙。
しかも市販のポテチは過酷な販売競争の下、味、食感ともに究極レベルまで研究しつくされているので下手をすると居酒屋の主人のお手製より美味しい可能性まであります。
少なくとも居酒屋のメニューに麗々しく
「自家製ポテトチップス」
と書かれていてもそれを注文するのはよほどの物好きかお調子者だけな気がしてしまうな。
けどね、その揚げたてのポテチを甘酢餡に絡めて小鉢料理に仕立てたらどうでしょう。
同じものを市販のポテチでやろうとしてもふやけるだけで美味しくはできなさそう。
その料理を成立させるのはあくまでも揚げたてのじゃがいもならではだと思うのです。
なんて妄想を膨らませていたら食べてみたくなっちゃった。
ということでじゃがいもを蓮根に替えてこんな1品を試作してみました。
うん、おうち居酒屋のメニューに載せても問題なしと自画自賛しております。
【材料】(2人分)
-調理時間:9分-
- 蓮根:1節(約100g)
- 揚げ油:適宜
- 水溶き片栗粉:4g(小匙1強)+水15g(大匙1)
[あんかけパート]
- 水:60g(60ml)
- 濃口醤油:12g(小匙2)
- 砂糖:6g(小匙2)
- 酢:10g(小匙2)
- 鷹の爪(小口切り):半本
【作り方】
- 揚げ油を170度に温めます。待っている間に蓮根は1~2mm厚にスライスします。[あんかけパート]を合わせてよく混ぜておきます。
- 揚げ油が温まったら蓮根の1/3量を投入して50秒素揚げにして素早くかす揚げで掬い上げます。同様に1/3量ずつの蓮根を素揚げにします。 ※蓮根は焦げやすいので比較的短時間素揚げしてあとは余熱で火を通すのがコツです。一度に多くの量を揚げると掬い上げるのに手間取って焦がしてしまいがちですので一度に揚げる量は少なめにしましょう。
- フライパンに[あんかけパート]を加えて中火にかけます。ふつふつと煮立ち始めたら蓮根を加えてさっと混ぜます。更に水溶き片栗粉を加えて素早く混ぜながらとろみを付ければできあがり。
【一口メモ】
- 蓮根をスライスして素揚げする「蓮根チップス」は香りが良くほんのり甘みもあってポテトチップスなど目じゃないくらいに旨いです。その進化系的小鉢料理としてあんかけバージョンを試作してみました。
- 寒い日が続いているので鷹の爪を利かせた甘酢餡をかけてみました。甘酸っぱい風味の後からじわっと辛味が襲ってきます。辛いのが苦手な方は鷹の爪を抜いてくださいね。
- [あんかけパート]にトマトケチャップを5g(小匙1)加えると風味が酢豚っぽくなってまた楽しいですよ。
- [作り方]にも書きましたが蓮根は素揚げにすると非常に焦げやすいのでご用心。少量ずつ揚げて手早く引き上げるのがコツです。