だいぶ涼しくなったので、過日、寝具を秋冬用に衣替えしました。
その際、ベッドを動かして久しぶりにベッドの下のほこりを掃除したのですが……。
なくしたと思っていたパスケースがベッドの下から出てきた!
知人からもらった名刺が入っていたので連絡先をまた、訊きなおさないといけないなと思っていた矢先の出来事。
嬉しかったですね。
けど、それ以上に嬉しかったのはチャージしたばかりだったSuicaが戻ってきたことかな。
って、戻って来たも何もずっとベッドの下にあったのですが(笑)
日々の暮らしは昨日も今日も明日も変わり映えがしない、なんて思いがちですが、唐突にこういった「予期せぬ嬉しい驚き」に出逢うこともあるので捨てたもんじゃないとも思ったりします。
日々の食事でも、美味しいものに出逢うことはとても嬉しい出来事なのですが、それ以上に嬉しいのも、こんな風な"意外な味に出会う"ことじゃないかしら──なんて、思うことがあります。
もうずいぶん昔の話になってしまいましたが1990年代の半ば頃、一緒にプロジェクトを担当していた先輩と梅田の寿司屋で飲んだことがありました。
その店は先輩の馴染みらしく、ご主人とも昵懇の様子。
気安く会話されていました。
その先輩が「この店に来たら、ぜひアレを食べなあかんで」とおっしゃるのです。
それを聞いたご主人も、なんだかにやっと笑いながら「ああ、アレですね」とおっしゃる。
そこまで言われたら何だか知らないけれど食べたくなるじゃないですか。
つい、「じゃ、ソレください」と僕が言って、指示代名詞だけで注文が成立しちゃいました。
「はい、ドラゴン巻き、おまちど」
ご主人が出してきたのは細巻き寿司でした。
が、断面を見てもネタが入ってない!! なにこれ?
と思いながら一口つまんだら──口から火を噴いてむせましたよ。
だって、海苔に包まれた中身はシャリとわさびだけの細巻だったのです。
食べたら口から火を噴くからドラゴン巻き──とは、シャレが利いているじゃないですか。
……、じゃなくて、なんちゅうもんを食べさせるねん。
と思ったのですが、意外にクセになってあっという間に平らげちゃいました。
あとで考えてみると、あの細巻は、寿司屋の渾身の一作だったと思い至りました。
魚のクオリティが高いのは寿司屋なので当たり前。
あえて、その魚を排するというのは、よほどシャリとわさびに自信がないとできないことです。
「予期せぬ嬉しい驚き」に出逢えた夜だったなと振り返って思います。
過日、夕飯にポテサラを作っていたのですが、ちょっと和風に寄せたくて調味料の塩梅を考えていました。
その時、なんの脈絡もなく梅田の寿司屋で食べたあの細巻が脳裏をよぎったのです。
むくむくと沸き起こるいたずら心を抑えられなくなって、こんな皿を作ってしまいましたとさ。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分(粗熱を取る時間は含めていません)-
- じゃがいも:中サイズ1個
- 玉ねぎ:1/8個
- カニカマ:20g
- 牛乳:じゃがいもがひたひたになるくらい
- [調味料パート]
- マヨネーズ:茹で上がったじゃがいもの重量×0.15
- わさび:チューブ2cm分
- ハチミツ:3.5g(小さじ1/2)
- めんつゆ:小さじ1/2
- 塩昆布:3枚
- ブラックペッパー:少々
【作り方】
- じゃがいもは皮を剥いて1cm角の賽の目に切ります。これを重ならないように小鍋に入れてひたひたの牛乳を注ぎます。小鍋を中火にかけて吹きこぼれに注意しながら6分茹でます。火を止めて蓋をし、6分蒸らします。 ※牛乳は吹きこぼれやすいので蓋をずらして煮込みましょう。煮込みの後半になって牛乳が蒸発し、空炊きになりそうになったらその時点で火を止め、蓋をして蒸らしに入ってください。
- 1.をやっている間に玉ねぎはみじん切りにします。カニカマは包丁を寝かせて刃を入れ粗くほぐしておきます。塩昆布はキッチンバサミで細く切っておきます。
- 1.のじゃがいもをボウルに移します。この際、じゃがいもの重さを計っておいてください。ボウルに移したらすぐに玉ねぎを加えてポテトマッシャーでじゃがいもをよく潰します。そのまま粗熱が取れるまで放置します。 ※熱々のじゃがいもに玉ねぎを混ぜ込むことで余熱で玉ねぎに火が通ります。
- 3.にカニカマと[調味料パート]を加えます。マヨネーズは3.で計ったじゃがいもの重量の15%分を加えてください。 ※じゃがいもは個体差があるので主な調味料となるマヨネーズはじゃがいもの重量の15%で固定して都度計算すれば味がぶれません。
- 4.をよく混ぜればできあがり。 ※マヨネーズはじゃがいもが冷めてから加えた方が絡みがよく、わさびの辛味も飛ばずにしっかり残ります。
【一口メモ】
- 口に入れた瞬間、わさびのシャープな辛味が広がります。ただのポテサラと思わせておいて家族に出したら、一口目でどんな顔をするか想像するだけで楽しい1品ですよ。
- もちろん、おかずとしても美味しいのですが、熱燗との相性がべらぼうに良い皿です。晩酌の肴としてもおすすめですよ。
- じゃがいもは牛乳で煮ると乳脂肪のコクが加わってとてもクリーミーなポテサラが作れます。ぜひ、お試しあれ。
- 塩昆布は汁物に使うと出汁もひけますし、口寂しい時のおやつにもなります。常備しておいて損のないアイテムですよ。
- 和風に寄せているのでめんつゆを加えていますが、テイストの好みが分かれるところかもしれません。ポテサラに醤油系の風味を加えたくない派の方はまずは抜きで作ってみて、味をみて適宜、加えてください。