僕は大学で有機化学を専攻しました。
「化学の実験をやってみたい」というのは小学校の頃からの夢でしたのでその夢が叶ったわけです。
けど、なぜ「化学の実験をやってみたい」と思うようになったかという理由を説明するとたいていの人に笑われます。
仮面ライダーの死神博士に憧れたから──
なんて言えば「はいっ?」って言われちゃいますよね。
死神博士は仮面ライダーと敵対する組織ショッカーの幹部で天本英世さんが演じておられたマッドサイエンティスト的なキャラでした。
彼がフラスコや試験管で実験をしている姿に僕は夢中になってしまって「僕もやってみたい」と思うようになったというw
ところが実際、研究室に入ってみるとすぐにわかったのですが化学の実験はずっと地味でアクティブな要素って皆無なんですよね。
怪しげな色の液体が入ったフラスコを振ったり試験管の薬品を加えるとぼわっと煙が立ち上ったり……
なんてことはないないない。
ただひたすらデータを記録していくだけの地味ぃな作業だったのです。
僕の夢は叶うと同時にその正体が枯れ尾花だったと気付かされた気もしたなぁ。
料理の世界でも似たようなことはあります。
映画やドラマで描かれる料理シーンと言えば神業のような包丁さばきで高速みじん切りをやったり、魚を捌いたり、あるいはボンと大きな炎に包まれたフライパンで肉を焼いたりする「絵になる」場面が採用されます。
けど料理をされる方に日常的に夕飯を作っていてそんな調理をすることがありますかと訊けば10人が10人。100人が100人。
こう答えると思うのです。
「ないないない」って。
たとえばこの料理で言えば人参をおろし金ですりおろすような地味な作業の連続だよ──
そんな風な答えが返って来るのが目に見えるようです。
ま、そういった見た目は派手でない地味な作業の積み重ねの先に美味しいスープの完成が待っていると思い描いて……僕らは頑張って人参をすりおろすんですけどね。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- 鶏ミンチ:30~50g
- 人参:50g
- おろしにんにく:ひとかけ分
- カレー粉:小匙1
- オリーブオイル:6g(大匙1/2)
- ドライパセリ:適宜
[スープパート]
- 水:220g(220ml)
- コンソメスープの素:小匙1/2
- 塩:1g(小匙1/6)
[仕上げパート]
- バター:5g
【作り方】
- 人参はすりおろします。
- 小鍋にオリーブオイル、鶏ミンチ、おろしにんにくを合わせてよく和えます。これを中火にかけて炒めます。ミンチの色が変わり始めたらカレー粉を加えて更に1分炒めます。
- 2.にんじんと[スープパート]
- を加えて強火にし、ひと煮立ちさせます。アクを取って蓋をし、弱火で5分煮込みます。火を止めて[仕上げパート]を加えてさっと混ぜればできあがり。器によそいドライパセリを散らして戴きます。
【一口メモ】
- まんま野菜ジューステイストのスープです。人参だけだとちょっと青臭さが前面に出てしまうのですがカレーの持つスパイスの風味がそれを上手に打ち消してくれています。仕上げに入れるバターの風味も良い感じ。
- 正直、人参をすりおろす作業が思った以上に大変でした。洗い物が少し増えてしまいますがミキサーかフードプロセッサーをお持ちの方は人参と[スープパート]
- の水を合わせてジュースにしてしまった方がお手軽だと思います。
- 更にお手軽にするには市販のキャロットジュースを使うという手もあります。ただ生人参のすりおろし独特のざらっとした食感もごちそうの一部なのでできれば野菜を使うことをおススメします。
- お好みで野菜や茸などを加えると更にリッチなスープになりますよ。