昔々はお歳暮と言えばお世話になった方々の家を回って荒巻鮭やらお酒やらを「お納めください」といって置いてくる年末のイベントでした。
(いや「置いてくる」と言うと語弊がありますがw)
ところが戦後、デパートがこの商戦に乗っかった辺りから「ギフトセット」なるものが登場。
「これとこれとこれと」
って商品をカタログから選んで送り先の住所を用紙に記入したらあとは宅配の人が届けてくれるシステムに変わっていきました。
もちろん
「ご挨拶をするのがメインでお届け物はそのついで。これでは本末転倒じゃないか」
と言ったり
「自分の足を使わずに業者に頼むなんて横着も極まれりだ」
とお叱りになる方もいたと思うのですが反面、全国に散った親類縁者知人を訪ねて電車を乗り継いでいくというのは現実的ではなくなり
「合理的なシステムじゃん」
と歓迎する人も大勢いたのでしょう。
ギフトセットは大いに流行りました。
ギフトセットの中身は洗剤や調味料など実用的なものもあったのですがやはり記憶に焼き付いているのは普段なら家では絶対買わないような高級食材でしたね。
ハム、ベーコン、洋菓子、和菓子など──
そのどれもに「高級」という冠がついておりました。
珍しい缶詰のセットなども眺めているだけで楽しいものでした。
あとはビールや洋酒のセットなんかも売れ筋だったみたい。
僕が実家で暮らしてそういったお歳暮に触れたのは高校生までだったので(大学に入ったら下宿を始めた)お酒にはあまり食指が動かなかったのですがハムや缶詰はあわよくばこっそり味見できないかしらん──
なんてひそかに狙っていたものです。
とはいえ当時はなんの調理技術も料理知識も持ち合わせていなかったのでせいぜい包丁で一切れ切ってそのままかぶりつくくらいしかできなかったでしょう。
けれどもし今、誰かからハムやベーコンのお歳暮を戴いたら──
こんな贅沢な卵かけご飯を作って食べてみたい!
なぁんて野望に燃えるかもしれません。
【材料】(1人分)
-調理時間:8分-
- ご飯:1膳分
- 卵:1個
- ベーコン(ブロック、スライスどちらでも可):30g
- 玉ねぎ:1/4個
- にんにく:ひとかけ
- サラダ油:6g(大匙1/2)
- バター:5g
- 粗挽きブラックペッパー:適宜
[調味料パート]
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 鶏がらスープの素:小匙1/2
- 粒マスタード:小匙1
【作り方】
- ベーコンはブロックなら8mm角の短冊切りにします。スライスなら1cm幅の小口切りにします。玉ねぎは薄くスライスします。にんにくはみじん切りにします。[調味料パート]は合わせてよく混ぜておきます。
- フライパンにサラダ油とにんにくを入れて弱火にかけます。香りが立ってきたらベーコン、玉ねぎを加えて中火で2分しっかりめに炒めます。
- ご飯を丼によそい真ん中をくぼませてバターを置きその上に卵を割り入れます。その周りに2.を盛り付け[調味料パート]を回しがけ、粗挽きブラックペッパーを振ればできあがり。
【一口メモ】
- 味の要は粒マスタード。ベーコン、卵、バターなどを使っていささかくどくなった丼を程よい酸味でキリッと引き締めてくれます。
- 別アレンジで卵白と鶏がらスープの素:小匙1/2をご飯に混ぜ込んでトッピングは卵黄のみとするというバージョンも考えてみました(その場合、[調味料パート]
- から鶏がらスープの素は抜いてください)。これだと最初は卵白のみ、卵黄のみの味わいを楽しんだのち、だんだん混ぜて味のグラデーションが楽しめます。ちと面倒ですがぜひお試しあれ。
- ベーコンはできればブロックを使った方がボリューム感が出て贅沢な気分が楽しめると思います。